傷痕

あたしから何かを聞き出そうと
たたいたりつねったり
くすぐったり
3ヶ月前と同じ光景
それでもあたしは吐かないの
どんなにされても
あたしは貴方に言わないわ
痛みで負けないと解った貴方は
甘い声で首筋に口づけた
前と同じように優しく
愛おしい人を宥めるように
それでもあたしは吐かないの
どんなにされても
あたしは貴方に堕ちないわ
快感かと訊く貴方のその刺激は
あたしにとっては哀しみでしかなく
貴方に触れられたという事実は
涙にしか変わらなくて
ごめんね、とその
心の底から絞り出したような声で
言われたら許してしまいそうになるけど
でもあたしは許さないの
裏切った自分自身のことも
あたしを利用しようとする貴方のことも
貴方に愛されようと必死なあたしの
心の奥底を見抜くようにして出来た
貴方の指先をまだ憶えてる
右足の太ももの内側の小さな痣

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